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【12/8が来る前に…】

 恋人へのプレゼントは、相手が気に入るものを贈りたい。事前に欲しい物を訊くのがベター、一緒に買い物に行ければベストだと思っている。考えて決めろ、と慧斗に命じられた時、心からぎくりとした。
 贈り物は決めたが、肝心のサイズが判らない。できれば本人には訊かずにスマートに贈りたいと、それくらいの虚栄心は持ち合わせている。
「二見さんさあ、薬指、何号?」
 代わりに先輩に向かって訊ねると、二見はパソコンからぱっと顔を上げて、瞬時に諧謔を飛ばした。
「えっ、買ってくれんの?」
「なわけあるか」
「ちぇ。いいなあ、慧斗くん…で、お前は困ってんだ」
 意地悪く笑う美貌の男は、慧斗とタイプは違うが華奢な体格だ。ぽきっとやるのも簡単そうな指は、恋人のサイズを知るために多いに参考にできるだろう。
「ね、何号?」
「さあ。何号でしょう」
「ほんっと、お願い」
「ふうん…晩飯奢ってくれたら、教えてあげる」
「喜んで!」
 ガラになく勢い込んで言うと、目を丸くした二見は、次の瞬間に爆笑した。

END
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